くりから工房~Blog (Archive & Search)

映画:アトランティスのこころ~Hearts In Atlantis

2013-07-31
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子供の頃、一日は永遠に続く気がしたけど
今になってみれば、あの頃がほんの一瞬に思える。

時は過ぎてゆく、全ては一瞬、ほんの一瞬だ。

Ben Johnson called time the old bald cheater.
・・・「時間とは年老いたペテン師である」と。

今作は「Hearts In Atlantis」という題名に惹かれ観た映画です。
(主演がアンソニー・ホプキンスという事もありましたが。)

幻のアトランティス大陸に関して何か描かれているのかなぁと思いましたが
アトランティス大陸が具体的な題材なのではなく、忘れ去られた幻の国として
アンソニー・ホプキンス演じる老人がアトランティス人の末裔かのようだったり
「子供の頃は楽しいことばかりで、まるでアトランティスにでもいるかのようだ
でも大人になるとアトランティスは消えてしまう」とそれを背景に描かれている。

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時は経過と引き換えに、あっさりと忘れ去られてゆく日常の中
共産主義勢力との戦いの為、FBIによって追われている
特殊な能力を持つ老人と母子家庭の少年とのひと夏の友情。

老人は人に秘められた可能性を前向きに少年に示してくれる。

例えば本を読むことの価値であれば「世界中の名作が君を待っている。
本には純金のような価値がある。名作は何世紀も人を楽しませてきた」
と、端的かつ簡潔ながらも何だか子供がワクワクするように説く。

時に頼りになる心強い味方、時に小さな恋のキューピットと
最初はピンと来なかった少年の心にやがて心当たりが芽生え
老人との間に年齢を越えた友情と絆が育まれてゆく。

それまで何も起こらないと期待が薄らぐ少年の心は
老人によって心の目が開かれ、未来へと向けられた。

そして突然の別れが訪れた時、少年は勇敢に立ち向かう。

少年時代の宝箱を埋めた時、少年時代に別れを告げるのかもしれない。

原作者は『スタンド・バイ・ミー』で御馴染みのスティーヴン・キング。

誰もが耳にした事がある懐かしいオールデイズ・ナンバーを重ねながら
『スタンド・バイ・ミー』が好きな人にはきっと楽しめる作品だと思います。

アトランティスのこころ~Hearts In Atlantis


映画:ブラッド・ダイヤモンド~Blood Diamond

2013-07-19
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多くの人間は善人だろうか?

答えはNo…善悪は人の行動によって決まる。

例え悪人であろうと、一瞬でも愛情を抱く事があれば
その人生に意味を与える事が出来る。

但、正しい道を選択するには過酷を伴う。

立場が異なれば、それぞれが正義となるのだから。

この映画は、アフリカのシエラレオネ共和国での内戦を舞台に
血塗られたダイヤモンド(政府軍と反政府勢力による紛争ダイヤ)を巡り
紛争ダイヤの密輸商、大きなダイヤの原石を見つけ隠した強制労働者、
紛争ダイヤの実態を暴こうとするジャーナリストといった立場が異なる
三者三様の正義が持ちつ持たれつ絡み合い、物語が展開されてゆきます。

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これはダイヤモンドの輝きに魅了される先進国(富裕層)のエゴだけでもなく
「ダイヤモンドを買わなければいい」という安直な結論だけでも済まされない。

宝飾業に携わる者としても、ダイヤモンドの存在そのものが
短絡的かつ一方的な問題の根源なのだろうとは到底思えない。

ダイヤモンドを購入する側にとって、それが紛争ダイヤモンドなのか、
公正なルートで取引されたダイヤモンドなのかは、普通に想像し難いが
この映画を観たからには、それを知る由もないでは済まされないと思うし
この映画を遠いアフリカでの出来事で済ませてもいけないと思うのです。

先ずは先進国の豊かな生活が、何だかの形で途上国の犠牲の上に
成り立っている事を改めて認識しておくべき必要がある。

多くの犠牲を伴い流通している物事には、根深い問題が隠されている。

現在、キンバリー・プロセス(認証制度・キンバリー協定)という
ダイヤモンドの原産地証明(国際認証)を義務付ける制度があり
完璧では無いが、紛争ダイヤモンドを選択しないシステムはある。

利権を競い合い、多くの血が流されてきたという歴史的背景は
何もダイヤモンドに限らず、資源を保有する国が抱えてきた事実で
(最近でも象牙の密輸に伴う象の乱獲問題はかなり深刻化している)
先進国としては、厳密なルールとインフラ整備の確立を目指し、
物事の背景に潜んでいる問題を強く意識しながら見極めてゆく事が
個々が担うべき一歩として大切な役割を果たすのだろうと思う。

思わず目を背けてしまうような残酷なシーンもありますが
鑑賞後、誰もが何かしらの問題提起を抱くであろう作品です。

ブラッド・ダイヤモンド~Blood Diamond


シンポジウム「面と語りのドラマツルギー」

2013-07-13
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先週末(7/6)「面と語りのドラマツルギー」フォーラムに聴講する為に和光大学(大学のキャンパスなんて20数年ぶり!)へ出掛けてきました。

仮面に興味を持ち始めたのは小学3年生の時に見つけた
「ひょっとこ」の泥面子がきっかけでした。
泥面子~銀の音彩より

一番古い記憶にある仮面は、3~4歳頃の幼少期
印鑑などが収納されていた引き出しに般若の小根付があり
引き出しを開けるたびに、その恐ろしい鬼の面と目が合い
それはまるで地獄へ招かれるような気さえしていました。
般若面との出会い~銀の音彩より

それを今では象徴的に般若の指輪として着けている程ですが
学術的な面では本から得てきた独学の知識程度でしたので
この機会をとても楽しみに参加してきました。

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フォーラムでの詳細はここでは控えますが、自身にとって
都合よく解釈できた事を書き留めておこうと思う。

崇拝の中で作られた仮面は、違う自分になる(なれる)事で
発揮される力を備え、イニシエーションに伴う変身により
言葉と語り、つまり「声=音」を添えて説いてゆくという。
また、それだけの力が備わっていると思い込ませるだけの
造形力と表現力が仮面の制作には当然不可欠とされる。

祭事でしかお目見えしない仮面は神聖視された畏怖な存在であり
(「鎮めの面」などは安に見ると災いが降り掛かると畏れられた)
仮面の力を身体の中に取り込む、つまり被り手が自分の存在とは
異なるものと思える姿(守護精霊)となって特殊な霊力を備え
その遥かに人を超越した強大な力で穢れを祓い浄めると共に
民衆に力を知らしめる役割もあるのだろうと考えられる。

このように何らかのタブーによって神を発生させる行為(祭事)は
普段は見る事が出来ない仮面と同様に、非日常的な出来事であり
そんな非日常的な出来事を祭事で体験・体感する事によって
日々の過酷な暮らしの中で耐え忍び乗り越えた悦びの一時だったり
自らの生活を律し、新たな一年を迎える線引きとなるのかもしれない。

それはまるで引き出しを開けると般若の小根付に睨まれた
自身の幼少期の体験に似て重なるところさえある。。。

ちなみに「面迎え」は、神迎えや鬼迎え等とも呼ばれている。

フォーラムでは他にも、、、
「仮面が生まれ老いる」
「翁を鬼面として考える(翁と鬼面の重なるイメージ)」
「縄文面等から見る面の歪みはシャーマンのトランス状態の引きつり」
などなど、尽きる事の無い興味から湧き出るワードによって
次々に僕のノートは埋めつくされていったのでした。


コパル~若年琥珀

2013-07-03
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NHKの朝ドラ「あまちゃん」で
すっかり全国区となった琥珀(笑)

【琥珀とは・・・】
数千万~数億年前に樹木から分泌された樹液が化石と化したもので
その生成の過程で古代の昆虫や植物片などが自然に内包されたものは
その稀少性と共に宝石としても学術的にも高く評価されています。

【コパルとは・・・】
琥珀になりきっていない未だ樹脂の性質が残っている状態のもので
半化石樹脂と化した「若年琥珀」と書くとイメージしやすいでしょうか。
それでも約100万年は経過しているとの事で、鉱物の世界は悠久です。

先日そんなコパルの塊を3ピースほど手に入れました。
どれも5~8mm程度の小さな虫が内包されています。

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琥珀の色は黄色~オレンジ系が多く、その色は樹木の種類だけでなく
その経年や環境といった条件によっても当然異なるといえますが
今回手に入れたコパルはマダガスカル産で、どれも薄めの黄色です。

耐水ペーパー#400→#800→#1200→#1500の順で
磨いてゆくとコパルの中が透き通ってくるよ…と教えて貰ったので
夏休みにでも時間を見つけてチャレンジしてみようと思っています。


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