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「狂言―山本東次郎家の面―」~國學院大學博物館 | 2018-05-28

國學院大學博物館にて開催中の「狂言―山本東次郎家の面―」を観覧してきました。

高校生の頃に一度だけ観たことがある狂言。
無知な高校生には全く台詞なども入ってこず
敷居の高さだけを記憶に30年経過していました。

能面に比べると、その存在はマイナーな狂言面ですが
今回の特別展では山本東次郎家が所蔵する名品の数々が
出品されるとの事で、仮面好きとしては見逃せない機会です。

舞踊的な要素の中で、悲劇的な内容が多い能とは対照的に
道化的な要素が強い狂言は、人の失敗や愚行にフォーカスし
時代の進化に関わらず繰り返される過ちを滑稽に捉えている。

いつの時代も変わることのない人間の愚かな本質を
単なる風刺ではなく、権力に胡坐をかいた見栄っ張りや
色物欲を捨て切れない僧侶、神通力を持たない妖神、
女面でも能面のような悲劇性を纏った鬼女面ではなく
人間味溢れる豊かな表情で笑いに包み心を和ませる。


この愛嬌溢れる「神鳴(かみなり)」面なども雷神好きとしては
達磨が何だかばつの悪そうな表情を浮かべているかのようで
その狂言の本質の(ほんの)欠片を感じ取ることが出来ます。

額に浮かび上がる血管から「癇癪持ち」とされていますが
この稲妻のように浮かび上がる血管は雷神系の面に見掛け
実は4年前に着手した面根付(未完成)でも用いています。

そして何より最も興味深いのは、狂言では人間の本性、つまり
誰もが心の隅に抱える欲や見栄を携えて生きているのだから
過失を追い詰めたり裁いたりすることなく互いに許し合って
大らかな気持ちで生きていけたらいいと示唆している点です。

これはまるで、過剰かつ敏感な昨今の日本のあり方に
改めて一石を投じているかのような古典芸能であります。

会場:國學院大學博物館 企画展示室
会期:平成30(2018)年5月26日(土)~7月8日(日)

特別展「狂言―山本東次郎家の面―」

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