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北斎 百鬼見参 ~ すみだ北斎美術館 | 2022-08-20

すみだ北斎美術館で開催中の「北斎 百鬼見参」を観覧してきました。


葛飾北斎といえば『富嶽三十六景』の「凱風快晴」や
「神奈川沖浪裏」を思い浮かべるかと思いますが
個人的には北斎の描く「雷神」の迫力がとても好きで
今回の企画展でも多くの雷神さんが登場していますが
(版本のものだったりという事で作品としては小さく)
北斎の雷神についてはまた別の機会に改めるとして…。

今回の観覧の一番の目的は北斎の肉筆画「道成寺図」でした。

般若は北斎漫画でも描かれていますが、肉筆画はやはり別格。
般若の面というよりは鬼女そのものといった生々しい表情で
能という舞台上で役者に鬼女が憑依したような描かれ方です。

儀式等では仮面は装着することによって神憑りとなりますが
この「道成寺図」の般若面はある意味では装着することで
仮面の方が神憑りになったというような感じにも見えます。

因みにこの般若面は耳がなく舌があるところから
真蛇かもしれないとの展示記述がありました。

「道成寺図」(蛇)繋がりという訳でもありませんが…
百物語「さらやしき」を続いて御紹介しておきます。

怪談芝居の『番町皿屋敷』が題材であるものの
古井戸に身を投じたお菊が古井戸から蛇と成って
姿を現しているが、その蛇の胴体を皿のように描き
その皿の文様が蛇紋と化すように洒落ていて流石です。

更に「道成寺図」繋がりという感じですが…
こちらも百物語から「笑ひはんにゃ」です。

これまで様々なテーマを般若に託してきた拙者ながらも
当然のことながらここまでの領域に達するには程遠く
ついついカッコよさと新しさばかりを模索していますが
笑い般若というテーマには長きに渡って興味があります。

今回の企画展ではパネルとなって出迎えてくれています。

大津絵「鬼の寒念仏」のパネルもありました。

とっても親しみのある名バイプレーヤーのような存在感です。

バイプレーヤーといえば「朱描鐘馗図」も素晴らしかった。

鬼が主役なので魔除けの鍾馗は今回は脇役となりますが
北斎の肉筆画という事では鬼という題材の枠を取り払い
とても神々しくそこに在りました。

朱描きには流行病の疱瘡除けも込められていたとされ
朱描きの鐘馗ともなると最強の守護図のひとつであり
目、鼻、口などを限りなく黒に近い色を重ねることで
そのチカラがより宿っているように見えます。

最後に「琵琶に白蛇図」を御紹介しておきます。

色彩豊かな布袋に包まれた琵琶に絡みつく白蛇。
白蛇は弁天の使い(もしくは化身)であるとされ
琵琶は弁天が携えている事から巳巳の日に描いた
弁天の縁起に八十八老卍は何を願ったのだろう。

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会場:すみだ北斎美術館 3~4階企画展示室
会期:2022年6月21日(火) 〜 2022年8月28日(日)
北斎 百鬼見参


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