くりから工房~Blog (Archive & Search)

クリムト展~ウィーンと日本 1990@東京都美術館

2019-05-29
クリムト展~ウィーンと日本 1990@東京都美術館 はコメントを受け付けていません。

クリムト展~ウィーンと日本 1990を上野の東京都美術館にて観覧してきました。

没後100年を記念する今回のクリムト展は
過去最大級のという事で楽しみにしていました。

理想の女性(像)を追い求めるかのように
ゆるやかにたわむ線は、胸の膨らみから
下腹部へと流れ、その存在を写し表す。

そして時に物憂げに、時に匂い立つほど恍惚に
その官能性と甘美を醸し出す黄金様式時代の表情も
未だスタイルを手探りしているかであろう
修行時代の劇場装飾の下描きで既に見て取れる。

例えば、まるで日本の天女の姿のように描かれた
「浮く女性」はその将来への繋がりが思い浮かぶし
「古代ギリシャⅠ・Ⅱ」で描かれていた女性の顔は
その20年後に発表された「ユディトⅠ」の
恍惚とした表情が秘められているようだった。

ユディトⅠ

ユディトⅠ

今展チケットやフライヤーの表紙に採用された「ユディトⅠ」。

アッシリア軍に包囲され壊滅寸前だった我が町を救うために
敵将ホロフェルネスを誘惑して酒に酔わせ、その首を取った。

そんなユダヤの英雄ユディトは、クリムトによって半裸の姿で
その恍惚とした表情と、金箔と共に華やかな装飾で表され
英雄を絢爛な姿で称えた…「黄金様式」の始まりである。

そして今回が初の来日となった「女の三世代」は
幼い娘を寄り添うように抱く母親の傍で
老いを嘆いているような姿で老婆が佇む
女性の人生の三段階(幼年、青年、老年)である。

女の三世代

女の三世代

背景の曜変天目茶碗の内側にあるような大小の斑文や
鱗紋のような模様で埋め尽くした抽象的な空間は
まるで生命の円環=宇宙を表しているかのようです。

伝統的な西洋美術の表現の1つで
鏡を持った裸の女性は真実を表す。

全てを映し出す鏡と露わとなった裸体を
組み合わせることで隠し事のない意となる。

ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)

ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)

このヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)も
その伝統を踏襲しているようにも見えるが
造形芸術家協会に対する不満、そして脱退し
新たに分離派を結成したという背景からして
批判や圧力に屈しない反骨の狼煙として
その鏡には保守的な協会の姿を映し込んで
あざ笑っているかのようにも見える。

上部に書き込まれているシラーの警句はこうだ。

 君の行いと芸術で万人を喜ばせられなくても
 ごく一部の理解者を喜ばせることだ。
 誰彼構わず喜ばせるのはむしろ見苦しい。

…と、芸術が大衆に媚びる様であってはならないとする。

足元の蛇は罪を暗示しているとあったが
それは果たしてどうだろう…?

クリムトの作品には多くの蛇が登場する。
それは蛇そのものの姿だけに留まらず
蛇の姿をデフォルメ、あるいは簡素化した
柔らかな曲線や曲線模様として表されたり
鱗もまた同じように意匠化され描かれている。

ゴルゴン三姉妹

ゴルゴン三姉妹

ベートーヴェンの交響曲第9番をテーマに描かれた
黄金時代の集大成「ベートーヴェン・フリーズ」でも
甲冑姿の「黄金の騎士」の背景には丸に三つ鱗紋
ゴルゴン三姉妹の頭に蛇が纏わり付くように描かれている。
※正三角形を組み合わせた「三つ鱗」は
蛇の鱗の連なりに似ていることに由来する。

水蛇Ⅰ

水蛇Ⅰ

今展は残念ながら水蛇ⅠとⅡの2作品はありませんでしたが
勿論この2作品とも蛇が重要なテーマになっている。

「クリムトと蛇」については後日改めて考察したい。

水蛇Ⅱ

水蛇Ⅱ

本展とは別に都美館の売店でポストカードが販売されていたので
その2作品と水蛇Ⅰに装飾が施されたカードを記念に購入しました。

5年前に観た映画「クリムト~Klimt」では
病院のベットに横たわる臨終間近のクリムトの
夢とも幻覚ともおぼつかない世界が描かれていたが
今改めてDVDを引っ張り出して観てみたいと思う。
きっとあの頃とは少し違う発見が出来るかもしれない。

~・~・~・~・~・~・~・

会場:東京都美術館
会期:2019年7月10日(水)まで

クリムト展~ウィーンと日本 1990

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トルコ至宝展~チューリップの宮殿 トプカプの美

2019-04-28
トルコ至宝展~チューリップの宮殿 トプカプの美 はコメントを受け付けていません。

トルコ至宝展「チューリップの宮殿 トプカプの美」を乃木坂の国立新美術館にて観覧してきました。

「トロヤの最下層にはアトランティスが眠っている」
そんな夢物語のような伝説もあるほどのこの地域。

古くからアジアとヨーロッパを結ぶ交易の要地として
様々な国々の文化を柔軟に受け入れ融合することで
多様に育まれ、そして繰り返し支配者を変えながら
その文化と歴史を重層的に積み重ねてきたのだろう。

「至宝」と題されていたが、今回は装身具ではなく
六角形にカットされた大きなエメラルドを3つ配した
全長43cm程もある王座用の吊るし飾りのような
装身具の方にフォーカスされているようでした。

この射手用ながらも宝石が豊富に鏤められた指輪や
手鏡、短剣などに施されたマルチカラーの配色は
ここ数年の課題でもあり、古のセンスを焼きつけた。

こちらは、立法者スルタン・スレイマン1世の刀剣で
細密な意匠と彫金技術はアフメト・テケリュの作。

よくよく見てみると蛇と鳳凰が向かい合っており
黒い蛇は金色の唐草を纏うかのように絡めている。

そして最も時間を費やしてしまったのが
様々な装飾に描かれたチューリップの意匠だ。

チューリップはトルコ語でLale(ラーレ)
アルファベット「Lam Elif Lam He」で表され
それは順番こそ異なるもののイスラム教の神
アッラー「Elif Lam Lam He」と同じである事、
更にチューリップが1つの球根から1つの花を咲かせる
…そんな唯一性がイスラム教の一神教に通じる事から
トルコでは神が姿を変えて現れた象徴と暗示されてきた。

現代の日本人には少々馴染みが薄い
細身で、朝顔の蕾のように捻じれた
チューリップが当時は流行したようだが
やはり気になったのは…
・兜の彫金テクスチャ(34)
・釉下彩技法のタイル(68)
・壁用カーテンの刺繍(94)
・クッションカバーの刺繍(124,127)
辺りの、細身で下半分に向かって膨らみのある意匠に惹かれ
これらは他人様の邪魔にならぬようスケッチしてきたので
近い将来これらのオマージュを作品に昇華出来ればと思います。

~・~・~・~・~・~・~・

会場:国立新美術館(企画展示室2E)
会期:令和(2019)年5月20日(月) まで

トルコ文化年2019
トルコ至宝展~チューリップの宮殿 トプカプの美


くりから工房2019年~亥年「お猪坊」扇蔵様仕様

2019-01-01
くりから工房2019年~亥年「お猪坊」扇蔵様仕様 はコメントを受け付けていません。

あけましておめでとうございます。

亥年の今年は「お猪坊」をリリースします。

先ずは年始の御挨拶代わりに
扇蔵様の御誂品をご紹介致します。

お猪坊の由来は「おちょぼ口の瓜坊」。

気持ちよさそうな表情で日を浴びる
瓜坊の姿を想作致しました。

慶事・吉祥の瑞祥「松・竹・梅」を
扇状にデザインして配されています。

扇蔵コレクション~扇印の十二支シリーズ
お猪坊(帯留・根付)を追加致しました。

~・~・~・~・~

今年も2014年から初詣に参拝している
柴田是真の額面著色鬼女図を所蔵の
王子稲荷神社へ初詣に行って参りました。

畏敬のオーラを放つ鬼女の大絵馬の拝観は
すっかり年始の恒例行事となりました。

おみくじは昨年と同じく半吉。

 この家の繁栄を祈るのは
 津の国の住吉の松原の様に
 常緑を色の変わりなく繁り行くが如く
 気を長く末の繁盛を待つべしとなり。

「気長に待つ」…ですか。

今までに無いスタンスだけに
心当たりにしておこうと思います。

~亥の字が含まれた「刻励」~
昨年末から仕事場の環境も少々改まり
より集中し、充実して励んで参ります。

2019年も、くりから工房を宜しくお願い致します。


日本のピカソ?~版画家・斎藤清「ザ・トールマン コレクション」展@渋谷ヒカリエ

2018-12-20
日本のピカソ?~版画家・斎藤清「ザ・トールマン コレクション」展@渋谷ヒカリエ はコメントを受け付けていません。

日本のピカソ?~版画家・斎藤清「ザ・トールマン コレクション」展を渋谷ヒカリエにて観覧してきました。

きっかけは12月11日付の日本経済新聞
文化面で紹介されていた記事でした。

「日本のピカソ」と大々的な題されたタイトルには
少なからずの違和感と懐疑的な気持ちを抱きながらも…

ノーマン・トールマン氏が1967年のアメリカ外交官時代に
ニューヨークの画廊で斎藤清氏の「ハニワ」と遭遇した際の
衝撃には及ばないが、現物を観てみたい衝動に駆られました。

トールマン氏の人生を大きく変えてしまったと言っても
過言ではない「ハニワ」、その入手経緯も強運と言える。

ニューヨークの画廊で観て以来、作品名さえ定かでないまま
限られた来日期間中に都内の画廊を巡るなかで辿り着いたのが
斎藤清氏の娘婿が営む画廊であったという1つめの強運。
その画廊の書架にも見つけ出すことが出来ずに帰ろうとした時
斎藤清氏ご本人と遭遇し「その作品なら1枚残っている」と
「ハニワ」を譲り受けることが出来たという2つめの強運。

その後の二人の30余年に渡っての運命の交流は
「日本の祖父」と「米国大使館から来た孫」という
ビジネスなどは抜きの真の友情が育まれたという。

仮面好きの私としては、この「ハニワ」のペインティングは
仮面に通じるようなところもあり惹かれ、それ以外の作品も
これを機会に是非とも観ておきたくなったという訳であった。

斎藤清氏の描く猫もまた愛らしく様々な表情やポーズの猫が
作品となって残されているが、そのどれもがモダンであり
昨今のイラストレーターが描いたような雰囲気さえある。
無論彼らが斎藤清氏の影響を受けているのであろうが…。

そして、現物を観ることが叶わなかったが
斎藤清氏が思い描く女性像もまた興味深い。

弁財天を描いていたりしていなかっただろうか…
もし描いていたらどんな感じだっただろうか…
などという期待と妄想を膨らませたりしている。

会津に斎藤清美術館があるらしいので
機会が得られた際には行ってみようと思う。


ポールマッカートニー フレッシュンアップ・ジャパンツアー@東京ドーム 2018年11月1日

2018-11-17
ポールマッカートニー フレッシュンアップ・ジャパンツアー@東京ドーム 2018年11月1日 はコメントを受け付けていません。

ポールのコンサートに参加する機会に
長い間なかなか恵まれずにいました。

1990年代になってポールのライブのセットリストに
ビートルズの曲が多く入るようになった事が話題になったが
その当時発売されたTripping The Live Fantasticで聴いた音は
時代を映すかのように華やか過ぎる印象だった事も距離を感じた。

その後のFree as a Birdのレコーディングは本当に素晴らしかったが
ジョージハリスンの死によって、そういった事も不可能になった。

2010年代になって何度も来日してくれたものの
どうしても自ら進んでその気になれずにいたのだが
今回は新作Egypt Station に収録された
I Don’t Know を聴いて一気に心が傾いた。

ビートルズにまつわるあらゆる事を全て受け留めて
何もかも解放されたような印象がこの曲にあった。

今こそ「ビートルズの生の声」を聴いておかなくては…と。

なぜかライヴ当日の朝からリフレインしていたのは
Live and let dieの冒頭のメロディばかりだった。

一度聴いたら頭から離れない親しみのある
そして抑揚感あふれるメロディアスな楽曲こそ
いかにもポールマッカトニーである!と賛同する。

両サイドの縦長のモニターに映し出されたのは
ポールマッカートニーの軌跡のように作りこまれ
ビートルズがあって今の自分があると受け取れる。

この序章もまた後に効いてくるボディブローのように
最高のシチュエーションだったと今になって思う。

A Hard Day’s Night
Junior’s Farm
Can’t Buy Me Love
Letting Go
Who Cares
Got to Get You into My Life
Come On to Me

オープニングから数曲は歌が聴こえ難かったが
恐らくそれは東京ドームの特殊な音響に
耳が馴染んでいなかったのかもしれない。

最初のMC「ニホンニカエッテキタヨ」すら
なんだかとても弱々しく聴こえたほどだったが
ほどなくして、それは帳消しとなった。

Let Me Roll It
I’ve Got a Feeling
この時点でシャウトもギターも響き渡ってきた。

そしてここからはピアノを弾きながら…
My Valentine
1985
Maybe I’m Amazed

ビートルズのカバー曲では1958年テディーベアーズ
(フィル・スペクター作曲&プロデュース)の
To know him is to love him「会ったとたんに一目ぼれ」
(ビートルズでは「To know her is to love her」)が好きで
ゆったりと優雅に始まり、メロディアスに盛り上がるサビは
20歳そこそこの当時から今もなお心に焼き付いているが
個人的にはその曲を思い出す In Spite of All the Dangerは
同じく1958年クオリーメン時代にレコーディングされた曲だ。

We Can Work It Out
In Spite of All the Danger
From Me to You
Love Me Do
Blackbird
Here Today

Queenie Eye
Lady Madonna

アコギに持ち替えて「ミンナダイスキ」といった後
ちょっとしたハプニングがあったのもまた良かった。
Eleanor Rigby

Fuh You
Being for the Benefit of Mr. Kite!

ウクレレの弾き語りから始まる
Something
とてもドラマティックだった。

「イッショニウタオヨ」と誘われて
みんな童心に帰ってしまった
Ob-La-Di, Ob-La-Da

Band on the Run

Back in the U.S.S.R.
演奏後のお決まりの?タッチ
そしてバイオリンベースを客席に
投げ込もうとする仕草も抜かりなく。

そして、まさかこの曲で涙あふれるとは…
個人的には「仕方ない」と訳している

Let It Be

これまでに数え切れないほどに聴いてきたが
イントロが始まった瞬間から涙が止まらなかった。

仕方ない、生きていれば仕方が無い事も多々あるのだ。

そして朝から頭の中で繰り返された
Live and Let Die

この日2度目の感涙
Hey Jude

大合唱と共に本編の幕は閉じた。

【アンコール】

I Saw Her Standing There
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
Helter Skelter

そして、ずっと聴きたかったこの曲で三度目の感涙。
Golden Slumbers
Carry That Weight

15年ほど前、渋谷の工房から自宅へ帰る途中
エンドレスでこの曲が頭の中で流れていた時期がある。
数年もの間、毎晩のように流れていた思い入れのある曲。

至福の時である。

The End
3本のギターによるギターバトル
七色の照明も美しくステージに映え
見事なエンディングを迎える。

時折ステージ上でおどけてみせるポールは
まるで子供あやす父親のようにも映った。
そう、やはり我々はビートル・チルドレンなのだ。

選曲はビートルズの曲が半分以上を占め
それ以外も誰もが一度は聴いた事があるような曲
聴き覚えのある曲、その親しみのあるメロディーの数々は
ポールマッカトニー大全集と捉えることが出来るが
まさにそれこそが今なおポールが伝えようとしている
ポールが受け留めて背負い解放している姿のように思える。

平成最後の秋を最高に締めくくることが出来た。


井の頭弁財天と宇賀神像~井の頭恩賜公園

2018-10-27
井の頭弁財天と宇賀神像~井の頭恩賜公園 はコメントを受け付けていません。

井の頭恩賜公園の中にある
井の頭弁財天の探訪記~2018年

かつては月に一度は散歩で訪れたり
住居を探していた時期もあったエリア。

今でも季節の節目に気持ちを入れ替えたり
言葉にし難い普遍的な景色に包まれたくなる。

そんな井の頭池のほとりにある紅一点の弁天堂は
華やぎを添えながら弁財天の存在感を放っている。

井の頭弁財天は天慶年間(938-946年)に源経基が
伝教大師作の天女像をこの地に祀ったことに始まり
1197年に源頼朝が東国の平安を祈願してお堂を建立。
その後、何度か焼失に見舞われる事となったが
現在のお堂は昭和初期に再建されたという事です。

こちらの狛犬は達磨に耳を付けたかのような大胆なお顔。
作者に制作の意図をお伺いしてみたいような気もするが
様々なご当地キャラクターを見慣れているせいだろうか
こちらの表情まで緩ませてしまう愛らしさもあるのです。

本堂裏手の銭洗い弁天では龍神様が口を開けてお待ちかね。
こちらもなかなかユーモラスな表情です(嫌いじゃない)。

井の頭白蛇伝説
首筋に3枚の鱗を生やした娘が実は池の主の化身だったという
その白蛇に変化した娘を偲んで供養のために作られた宇賀神像。
しかし、その顔は娘(女性)ではなく翁である。

過去の「宇賀神」に関する記事

井の頭弁財天のご本尊は8本の手を持った八臂像で
(縁起によれば、この弁財天像は最澄の作とされる)
頭上に宇賀神を載せ鳥居を冠している姿の秘仏であり
簡単にお目に掛かれませんが(巳年に御開帳される)
弁天堂の正面から左手奥にある七井不動尊のお堂前に
ひっそり鎮座する宇賀神を冠した弁財天の石像に救われる。

後背に彫られていたのを見落としたかもですが
二臂の弁財天が剣と宝珠を持つ姿は少し珍しい。
(物凄く珍しいという訳でもないと思いますが)

こちらの弁財天は優しく穏やかな表情をされていますが
宇賀神の方は険しい感じ…こちらも翁でしょうか?

これまで何度も足を運んでいましたが
こうして記事にしてみると新たな発見や
疑問なども次回に繋がる楽しみとなりました。


海の道 ジャランジャラン~東京国立博物館(東洋館)

2018-09-29
海の道 ジャランジャラン~東京国立博物館(東洋館) はコメントを受け付けていません。

東京国立博物館(東洋館)にて開催中のイベント「海の道 ジャランジャラン」を観覧してきました。

「ジャランジャラン」とはインドネシア語で「散歩」の意。

インドや中国といった周辺諸国との交流によって
その各地に起源を持つ文化との融合と共に育まれ
インドネシア海域で豊かな文化へと発展しました。

染色、陶磁器、武器、絵画等が特集されていますが
中でもお目当ては「ワヤン」というインドネシアの人形芝居。

そのきっかけは8年前、扇蔵様から下賜されたこの人形でした。
201444

詳細は不明ながらもその意匠から東南アジアのものだろうと推測。
その後2014年に観覧したイメージの力~国立新美術館
その存在と詳細が紐解かれるきっかけとなりました。

インドネシア(ジャワ島・バリ島)の伝統的な影絵芝居で使う
「影絵人形~ワヤン・クリット(orクリ)」という操り人形。

影絵人形はそのシルエットのみスクリーンに映し出されるが
実際の人形には煌びやかな色彩が豊かに施されていたりする。

これはスクリーンの裏側(人形遣い側)は常世であるとされており
常世とは色彩が豊かに溢れる美しい世界であると表す一方で
現世(観客席側)はモノクロームな世界を表しているのだと云う。


スクリーンに映し出された影絵芝居劇のワンシーン。


王女バヌワティ~Dewi Banowati


ユディスティロ~Prabu Yudistiraとバヌワティ


超能力の持ち主、ウモ~Dewi Uma


髪の毛に人毛が用いられている人形…

特にお気に入りはこちら…

怪物チャキル~Buta Cakil
チャキルとは鋲の意で、牙を表している。


主人公に打ち負かされるキャラ設定ならではの
この妖かしながらも愛嬌溢れる表情に惹かれます。

インスタの方にも幾つかアップしておきました。
ワヤン~影絵人形劇

~・~・~・~・~・~・~・

会場:東京国立博物館(東洋館)
会期:平成30(2018)年9月30日(日) まで

日本インドネシア国交樹立60周年記念
イベント「海の道 ジャランジャラン


縄文 1万年の美の鼓動~東京国立博物館 平成館

2018-08-20
縄文 1万年の美の鼓動~東京国立博物館 平成館 はコメントを受け付けていません。

東京国立博物館(平成館)にて開催中の特別展「縄文 1万年の美の鼓動」を観覧してきました。

今回の目玉はなんといっても縄文美の最たるものとして
真っ赤な展示室に集結した史上初となる国宝6優品。
中でも推土偶「仮面の女神」と「縄文のビーナス」が
7月31日からは追加展示され、絶好の機会となりました。

↓こちらは私物の推土偶フィギュア(=`▽´=)

何のために作られたのか等は全て推測する事しか出来ない。

色んな人の目に映ることで未だ誰も気づかないことに
新たなる発見が導き出されるかもしれません。

大胆な造形と繊細な文様の組み合わせからなる土偶。

個人的には「ハート形土偶」は梟の仮面
そして「仮面の女神」は蛇の仮面なのではないか
(直観的第一印象レベルの話ですが)と思ってます。

という訳で、本展の第一目的は「仮面の女神」でした。

プリミティヴな縄文造形の中に見え隠れする蛇の存在。

土偶や土器の縄目文様は蛇の鱗を表しているとされるし
造形そのものとして蛇形や蛇模様として多く登場する。
そして蛇の頭部を三角形で表されることがある。

「仮面の女神」の逆三角仮面は蛇を模したものではないだろうか。

いつの頃からかそういう風に漠然と思い描きながらも
実物の「仮面の女神」を目にする事が出来ずにいましたが
今回こうして実物を見る事で確信を得たとは言えないまでも
この考えをこのブログにて発信してみることにしました。

田中清文氏著による『仮面の土偶』にて
「仮面を被った女性シャーマン」であり
「土偶はみな仮面を被った姿」と発想されている。

仮面と蛇との繋がりに関する記述はありませんでしたが
女性シャーマンが信仰の対象である蛇の面を被るのは
あり得るかもしれない…と、この本を読んでの感触です。

真実を解明されることが決して無い事でも
こうして想像してみるのは面白いですね。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

縄文の造形で驚かされる事のひとつに空洞の工夫がある。

アザラシともペンギンとも見える「動物形土製品」は
描かれた模様と空洞の穴が巧く一体化されていたりする。

「縄文のビーナス」も、ひたいの上部に空けられていて
これがまた原始的とは言い難いほど巧みなのである。

プリミティヴというと素朴・単純・幼稚といった括りもあるが
その本能的な造形表現は、外国との交流も少なかった時代に
極めて混じり気のない純粋さから成る独創的な美(表現)が
1万年もかけて縄文時代に安定的に育まれたのでしょうか。

来月辺りから来年の干支「亥」の制作も始まるので願掛けに
猪がモデルとされる「猪形土製品」のカードを購入しました。

他に気づいたことをメモ代わりに記しておくと…
「縄文の女神」の上半身には対称的に空けられた穴があるが
あれは縄で別のパーツが括られていた痕跡ではないかと思った。

あの美しいボディラインと下半身の模様に比べ顔無しでは
いくら大胆な造型美の縄文土偶とはいえ物足りなさがある。
実は別のパーツで顔もしくは仮面などが表現されて
縄か何かで括られていたのではと思ったりしました。

…だとしたら一体どんな感じだっただろう。。。
まるでミロのヴィーナスの失われた腕の推測のよう。
アプリとかで色々と公募してみたら面白そうですね。

夕方に入場した展覧会場も出る頃にはすっかり暗くなって
月夜を背景に「表慶館」が美しく浮かび上がっていました。

会場:東京国立博物館(平成館)
会期:平成30(2018)年9月2日(日) まで

特別展 「縄文 1万年の美の鼓動」


特別展 「仏像入門-のぞいてみよう!ウラとワザ-」鎌倉国宝館と旗上弁財天社

2018-07-30
特別展 「仏像入門-のぞいてみよう!ウラとワザ-」鎌倉国宝館と旗上弁財天社 はコメントを受け付けていません。

鎌倉国宝館にて開催中の特別展 「仏像入門-のぞいてみよう!ウラとワザ-」を観覧してきました。

・・・と、その前に「鎌倉江の島七福神」の弁天様
鶴岡八幡宮境内の源氏池に浮かぶ島にある
旗上弁財天社に参拝して参りました。

1182年、北条政子の命によって建立したものとも伝えられ
社の裏手には政子石なる大きな石がひっそりと祀られています。


※こちらは1980年に復元された旗上弁財天社の彫刻です。

重要文化財「弁才天坐像」
1266年に舞楽師中原光氏が舞楽院に奉納。

神仏分離令が発令された1868年以降
弁財天社も仏教の守護神であることから
鶴岡八幡宮寺と共に廃仏毀釈で破壊され
行方不明なっていたが後に倉庫にて発見、
現在は「鎌倉国宝館」に寄託されており
今回の特別展でも展示されていました。

弁才天坐像(弁財天坐像)

弁才天坐像(弁財天坐像)~※私物の古い絵葉書より


この画像にあるように裸形に腰布1枚の姿で彫出され
この裸形彫刻に着衣して弁才天坐像は完成すると云う。

そんな弁才天坐像を下から少し見上げるように
間近で独占状態で拝観することが出来ましたが
鎌倉時代作ならではのふくよかな女性らしさの中に
その存在感から畏怖の念を感じずにはいられません。

そんな 「仏像入門-のぞいてみよう!ウラとワザ-」

関東でも数多くの魅力的な仏像が伝わる鎌倉にて
普段目にする角度とは異なる仏像鑑賞をテーマに
伝統の中に新たな発見を見出すというアプローチ。

例えばフライヤーにある十二神将立像
(左奥から、寅神像・卯神像・子神像)の
卯神像はフライヤーの角度から見た印象は
遠くの景色(様子)を伺っているように観えますが

こうして俯瞰すると「了解!」とか「お疲れ!」と
キャラクターが敬礼しているかのような感じで
(それこそLINEのスタンプとして使えそう)
険しい形相に愛嬌が溢れ親近感を覚える。

個人的に気に入ったのは子神像。

特にこの左目の感じなどは間違いなく近い将来
面根付か般若辺りの作品に反映されると思います。

もちろん基礎的な鑑賞や、仏師の思いや工夫の数々で
仏像の内側(ウラとワザ)として窺い知る事が出来ます。

会場:鎌倉国宝館
会期:平成30(2018)年7月21日(土)~9月2日(日)

特別展 「仏像入門-のぞいてみよう!ウラとワザ-」


鉄隕石/隕鉄(ムオニオナルスタ)とトルマリン・イン・クォーツ(トルマリネイテッドクォーツ)

2018-06-02
鉄隕石/隕鉄(ムオニオナルスタ)とトルマリン・イン・クォーツ(トルマリネイテッドクォーツ) はコメントを受け付けていません。

第31回東京国際ミネラルフェアの招待券を頂き、鉄隕石/隕鉄(ムオニオナルスタ)と、トルマリン・イン・クォーツ(トルマリネイテッドクォーツ)を新たに迎え入れる事が出来ました。

仕事柄、色んな宝石を所有していますが
鉱物コレクターとなると、それには程遠いレベル。

時間とタイミングが合った時に蒐集している感じで
好みの物に出会えたら…と、ここ数年探しているのは
加工用に探している隕鉄(鉄隕石)
貫入り水晶(クォーツ・イン・クォーツ)です。

本日は土曜日という事もあって会場内は大盛況。

何か面白そうなものを探しに…という余裕はなく
目的のものだけをピンスポットでチョイスという感じで
約1時間ほどの滞在でしたが、良い出会いがありました。


天然の幾何学模様(ウィドマンシュテッテン構造)が美しい
鉄隕石/隕鉄(ムオニオナルスタ)はエッチングを活かした
ペーパーナイフに加工する事を目的としていますので
数ある中で理想的なものを見つける事が出来ました。


こちらはトルマリン(電気石)の結晶が内包された水晶
トルマリン・イン・クォーツ(トルマリネイテッドクォーツ)。

貫入り水晶(クォーツ・イン・クォーツ)の
氷の中に閉じ込められたかのようにも見える
天然アートのような一瞬の不思議さが好きで
今回はどんな貫入り水晶に出会えるか楽しみでしたが
このグリーン・トルマリンの結晶が浮かび上がるように
内包された水晶に惹かれ観賞用に連れて帰りました。

観賞用とはいえ、トルマリン=電気石の名の通り
結晶の両端が+と-に帯電する性質がありますので
その辺りの効果などもちょっと気になったりしています。

~・~・~・~・~・・・
会場:スペースセブンイベント会場
ハイアット・リージェンシー東京/小田急第一生命ビル1F
開催期間:6/1(金)~4(月) 10時~18時
主催:TIMA 東京国際ミネラル協会


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